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LOG 2026.10.31 · CONSTELLATION · 2 STARS

Soniox の日本語リアルタイムSTTを実測:確定は中央値1.29秒、精度はカスタム語彙しだい

Soniox を日本語の音声入力・音声エージェントに使うとき、速度と精度がどの程度か、他社(Speechmatics・Modulate)と比べてどこで選ぶべきか、設定で何が変わるかの判断材料が得られる。

結論

音声で指示するとコードを書く VS Code 拡張を作るために、日本語のリアルタイムSTTを3社で実測しました。Soniox の手応えはこうです。

  • 確定テキストは、話し終わってから中央値 1.29 秒。Speechmatics(0.78 秒)より遅く、Modulate(2.11 秒)より速い
  • 途中経過(partial)が細かい。約 130 ms ごとに更新され、話し終わってから 0.43 秒で意図が読める
  • 精度はカスタム語彙(vocabulary)しだい。語彙を入れると技術語も行番号も取れたが、入れないと「FizzBuzz」が 9 回中 0 回だった
  • 言い直しで文が割れにくい。言い直しのシナリオで、Speechmatics は 3/3 回割れ、Soniox は 1/3 回

「確定を待たずに partial で先回りする」設計にすると、Soniox の強み(細かい partial と精度)が活きます。

Soniox とは

60以上の言語を 1つのモデル で扱う音声AIのAPIです。リアルタイム/非同期の音声認識(STT)、音声翻訳、音声合成(TTS)があり、STT と TTS を同じAPIキーでまとめられます。

2026年10月時点の現行モデルは stt-rt-v5(リアルタイム)/stt-async-v5(非同期)(2026年6月リリース)。今回の計測も stt-rt-v5 です。

測った条件

  • 計測日:2026-10-01
  • 環境:Windows 11、Python 3.11.9、自宅回線
  • 比較:Speechmatics Agent STT(linden-1、EUエンドポイント)/Soniox stt-rt-v5(エンドポイント検出あり)/Modulate velma-2-stt-streaming
  • 音声:自分の声で録った WAV 18 本(6シナリオ × 3テイク)を、16 kHz・モノラルで 32 ms ずつ実時間で流す
  • カスタム語彙:あり/なしの両方
  • 話者は1人、各シナリオ3テイクなので、順位を決めきれる規模ではありません

速度(カスタム語彙あり、18テイク)

話し終わり → 確定(中央値・範囲)話し始め → 最初の partial話し終わり → 意図が読めるpartial と確定の差
Speechmatics781 ms(694〜1283)776 ms375 ms約 0.4 秒
Soniox1290 ms(738〜2912)897 ms433 ms約 0.9 秒
Modulate2110 ms(1264〜3703)954 ms518 ms約 1.6 秒

partial の更新間隔は Speechmatics 約 380 ms、Soniox 約 130 ms、Modulate 約 150 ms でした。

確定だけ見ると Speechmatics が速いですが、「意図が読める」タイミングでは3社の差は 0.15 秒ほどに縮まります。確定を待たずに partial から意図を読む なら、Soniox の遅さはほぼ気になりません。

エンドポイント設定で速度は変わる

Soniox はエンドポイント検出の設定を5段階で変えると、確定までの中央値が 約 0.7 秒〜1.3 秒 の間で動きました。ただし一番攻めた設定では、言い直しのシナリオが毎回割れました。速さと「文が割れないこと」はトレードオフ です。

精度(正解テイク数/全テイク)

語彙FizzBuzzasyncリファクタ10行目20行目人名
Speechmaticsあり9/93/33/31/31/32/3
Sonioxあり9/93/33/33/33/32/3
Sonioxなし0/91/32/33/33/32/3
Modulateあり1/93/32/32/32/33/3
  • 語彙ありの Soniox は、技術語も「10行目」「20行目」もほぼ全部取れました
  • 語彙なしだと「FizzBuzz」は 0/9。英語の技術語を扱うなら、カスタム語彙は必須と考えたほうがいいです

文の割れ方(カスタム語彙あり)

シナリオSpeechmaticsSonioxModulate
言い直し(「えっと、テストを…通して」型)3/3 回割れた1/31/3
言い淀み+無音3/32/32/3

Speechmatics は話し始める前の雑音を発話として拾うことも 18 回中 3 回ありました。Soniox と Modulate では起きませんでした。音声で指示を出す用途では、指示が2つに割れると致命的なので、ここは Soniox を選んだ大きな理由です。

料金(2026年10月時点の公式料金表)

トークン課金で、1時間あたりの目安はリアルタイムSTT 約 $0.12、非同期STT 約 $0.10、TTS は生成音声1時間あたり約 $0.70 です。上の計測ぐらいの量なら数セントで済みます。

Pipecat と組み合わせる

音声エージェントの枠組み Pipecat では、STT のプロバイダーとして Soniox を差し込めます。STT・LLM・TTS をパイプラインでつなぐので、STT だけ他社と入れ替えて比べるのも簡単です。

まとめ

  • 日本語+英語の技術語には強いが、カスタム語彙を入れるのが前提
  • 確定までの約 1.3 秒は、partial(約 130 ms ごと)で先回り すれば隠せる
  • エンドポイント設定で 0.7 秒まで縮められるが、言い直しで割れやすくなる

詳しい計測の手順と生データは Qiita に書いています。

公式ドキュメント:https://soniox.com/docs

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